究極の座談会 ~オナニーマスター黒沢を添えて~

ネタバレのできない漫画紹介だけでは俺の漫画好き好き欲が満たされないのでかなりオタクな視点からネタバレ感想を述べていきます。

読んでない奴はここで引き返せ。読んだ前提で話すから読んでないとつまらんぞ

 

 

 

 

さあ森へお帰り。

 

 

 

 

じゃあネタバレしていくよ、覚悟はいいか?

 

初めて読んだとき

こいつを読み終わったとき漫画で初めて切なくて苦しいと感じた。ガキだったのもあったかもしれないけど今まで単純なバトル漫画だったり、デスゲームだったりハーレムだったりいわゆる少年漫画のようなものしか読んでこなかった。

この漫画は凄い学園青春漫画なんだけど少女漫画と少年漫画を混ぜたような今までになかったジャンルな気がして余計に印象に残ったのかもしれない。

 

印象深い場面

絶対にみんな同じだと思うんだけどマギステルとブロリーが付き合ったって場面が一番好き。いや正確には一番心が苦しくなった場面だから好きとはまた違うんだろうけど

図書室で黒沢とマギステルが交流を持ち始め、修学旅行でブロリーたちと面倒で退屈な時間を過ごしたことで黒沢は「こんな退屈も、案外捨てたもんじゃない」というセリフとともに順風満帆な生活を送ると思った。

 

でもここで例のマギステルとブロリーが付き合う場面が来てしまう。これは誰もが経験したことがあると思う。黒沢もマギステルもブロリーも誰も悪くない。なのにとても辛かった。

どんどんと自分の知ってるマギステルじゃなくなっていく様子を黒沢は耐えられなくて心が折れてしまった。 絶対に経験したことがあるからこそ共感できてこっちまで悲しくなるのはもう凄いとしか言えない。

 

感想とはまた違うがこの漫画とはべつに小説版がある。ちょうど漫画の方で黒沢の心が折れたあたりで小説が販売された。多分漫画の更新が待ちきれずに小説を買った人は少なくないだろう。

ちなみに小説の名前は「キャッチャーインザトイレット」気になったらこっちも調べてね。

 

そしてこの後、黒沢は女子トイレの捕まえ役北原と取引であのころのマギステルの笑顔を壊す。そうすることしか出来なかったから。

 

誰だって嫌われるのは嫌でしょう?

これは修学旅行中に北原が言ったセリフだがこのセリフがかなり刺さる。嫌われないための一番の最善策はその人と関わらないことだ。だから黒沢はマギステルやブロリーに接することをやめた。

 

まずこれをしたら普通はもう戻れない。経験がある人もいるかもしれないが一度突き放したらずっとそのまま。黒沢はそれでいいと思ったのだからそう行動したんだけどね。

 

その後しばらく北原と白き制裁を実行してるうちに黒沢はマギステルが描いた修学旅行の絵を見つける

テーマ将来の夢「またみんなで」

それは修学旅行で黒沢たちと手を繋いで笑っている絵だった。それがマギステルにとっての夢、すなわちまたみんなで笑いたいということである。

そんな彼女から笑顔を奪った黒沢はこんなの見たらそりゃ後悔する。読んでる俺もついでに後悔した。

 

黒沢ももう一度みんなと笑いたかった、繋がりたかった。だから彼はクラスのみんなに謝った。普通は一度突き放してもう戻れない関係を元に戻したかったから。

まず自分の立場なら謝れない。それを彼はしたのだ。そっから黒沢がめちゃめちゃかっこいい。ついでに担任の先生もかっこいい。

「お前はいばらの道を選んだんだ」っていう先生もきっと同じようなことがあったんだろうけどその選択はできなかったんだろうと想像がふくらむ。

 

ここでボッチの黒沢に手を差し伸べるのは超お人よしのブロリー 

「一緒にストレッチしませんかー!」

「よろしくな」

もう涙です。ここで少年漫画のような友情はずるい。

 

その後マギステルといろいろやり取りして仲直りする。そのやり取りも結構心に来るんだけど個人的にこの言葉選びが好き

何十冊何百冊本を読んでも、自分が本当に大切な人に伝える適切な言葉なんてどこにも見当たらない。自分の中の一番大きな感情を伝えてくれる言葉。

「ごめんなさい」

「いいよ」

ここの文才っぷりは凄い。もはや夏目漱石

 

一方で北原は引きこもりの不登校になってしまったんだが高校生になり同窓会をやることになった。

黒沢は一緒に同窓会に行こうと北原を引き連れようとする。

壁越しで話すのはこの作品で一番多く出る場面ではあるけれど最後まで出てくるとは構成も素晴らしい。

北原も黒沢同様変わろうとしてドアを開ける。ドアを開ければ変われるから。

 

この漫画を読んで自分も変わる努力をしようと思った。実際はそんな努力をしないあたり俺はもうひねくれてるんだろうが。

 

「だけどまだ、こう……心にガツン!と来るような
小説には出会えてないんだよね。
一生本棚に残しておきたくなるような、
読んだその日から人生ががらりと変わっちゃうような、心底出会えてよかったと思える小説とはね。」

滝川マギステルのとあるシーンでのセリフなんだけどこのセリフがかなり好き。

特にこの漫画・小説を読み終わったときに聞くとグッとくる。

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俺は「キャッチャーインザトイレット」という本を本棚にずっと残していると思う。心にガツンときて読んだ時から考え方がぐるっと一転してしまい見つけてよかったと思う小説だったから